EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年2月2日)
鈴木章広
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Source: www.businessoffashion.com
この記事のポイント
- AIショッピング戦争でAmazon対抗の提携ネットワークが急拡大
- 中国ECプラットフォームがAIアルゴリズムで消費低迷を乗り切る戦略に転換
- 自動車・ペット小売などAIコマースの業界別展開が加速
今日の注目ニュース
AIショッピング戦争、競合各社がAmazon対抗で連携を加速

In AI Shopping Wars, Rivals Team Up to Take On Amazon — The Information
AI firms are promoting shopping as a new area of growth for chatbots, and retail giants and payments companies don't want to be left out.
AIチャットボットを活用したショッピングが新たな成長領域として注目される中、小売大手や決済企業が相次いで提携を結んでいます。The Informationの報道によれば、少なくとも10社以上がAIショッピング分野でのアライアンスを形成しており、Amazon一強への対抗軸が明確になりつつあります。
背景には、AIエージェントが消費者に代わって商品を検索・比較・購入する「エージェンティックコマース」の急速な進展があります。各社はAIによる購買行動の変化を取り込むため、技術力と販売チャネルを補完し合う戦略をとっています。
先週発表されたSalesforceとGoogleによるUniversal Commerce Protocol(UCP)も、この流れを後押しする動きの一つです。AIショッピングの標準化と商取引インフラの整備が、2026年のコマース業界の最大テーマになりつつあります。
詳細記事: AIショッピング戦争、競合各社がAmazon対抗で連携を加速
中国ECプラットフォーム、AIアルゴリズムで消費低迷に対抗
How AI Is Rewriting Consumer Commerce in China - Barron's
As spending slows, platforms are turning to algorithms to protect margins and reshape competition.
Barron'sの報道によると、中国の消費低迷が続く中、主要ECプラットフォームがAIアルゴリズムを活用してマージン確保と競争力維持を図っています。
Alibaba、JD.com、Pinduoduoなどの大手プラットフォームは、商品レコメンデーション、価格最適化、在庫管理にAIを積極導入しています。消費者の購買意欲が低下する環境下で、AIによるパーソナライゼーションがコンバージョン率の維持に重要な役割を果たしています。
この動きは単なるコスト削減にとどまらず、プラットフォーム間の競争構造そのものを変えつつあります。AIの精度が競争優位を左右する時代に入ったことを示す事例として、グローバルなEC事業者にとっても示唆に富む内容です。
詳細記事: 中国ECプラットフォーム、AIアルゴリズムで消費低迷に対抗
エージェンティックコマース
自動車業界初のAIコマースソリューション「AgentUnify」が登場

AutoUnify Launches AgentUnify, the First AI-Commerce Solution for the Automotive Industry
AutoUnifyが自動車業界向けの初のAIコマースソリューション「AgentUnify」をローンチ
AutoUnifyが自動車業界向けの初のAIコマースソリューション「AgentUnify」をローンチしました。AIエージェントが車両の検索、比較、見積もりといった購買プロセスを自動化します。
自動車販売は高額商材であり、従来はディーラーとの対面交渉が主流でした。AgentUnifyはこのプロセスにAIエージェントを導入することで、消費者体験の効率化とディーラー側のコスト削減の両立を目指しています。
エージェンティックコマースがファッションや日用品だけでなく、自動車のような高額・複雑な商材にも拡大している点は、この技術の汎用性の高さを示しています。
詳細記事: 自動車業界初のAIコマースソリューション「AgentUnify」が登場
企業動向・提携
SaksがAmazonとのEC提携を正式終了

Saks Ends E-commerce Partnership With Amazon | BoF
The end of the luxury retailer's partnership with Amazon arrives two years after the e-commerce giant made a $475 million investment in Saks.
高級百貨店SaksがAmazonとのeコマース提携を正式に終了しました。2024年にAmazonがSaksに4.75億ドルを出資して始まったこの提携は、わずか2年で幕を閉じることになります。
Business of Fashionの報道によれば、ラグジュアリーブランドのEC展開におけるAmazonプラットフォームの限界が背景にあるとみられます。高級品の購買体験とAmazonのマーケットプレイス型モデルとの相性の問題が浮き彫りになった形です。
この動きは、EC提携における「ブランド体験の維持」と「スケールの追求」のトレードオフを改めて業界に問いかけるものです。
Amazon・Pinterestが人員削減、一方で米企業の利益率は15年来の高水準
Amazon and Pinterest are slashing jobs, yet corporate America's profit margins are racing toward 15-year highs
With Amazon and Alphabet leading a massive earnings week, analysts are focused on hiring decisions and AI adoption.
AmazonとPinterestが相次いで人員削減を発表する一方、米企業全体の利益率は15年来の高水準に向かっています。MarketWatchの分析によれば、AIの導入による業務効率化が利益率改善の主因の一つです。
決算ウィークではAmazonとAlphabetが注目の的となっており、アナリストはAI投資と雇用戦略のバランスに着目しています。テック企業を中心に「AIで効率化しながら人員を最適化する」というトレンドが鮮明になっています。
Chewy、CTO退任でデジタル戦略の転換期を迎える

Chewy's Technology Leadership Transition Arrives at Pivotal Moment for Pet Retail Giant's Digital Strategy
Chewy's announcement of CTO Satish Mehta's retirement arrives at a critical moment as the pet retail giant navigates mounting pressure to accelerate AI integration.
ペット用品EC大手Chewyが、CTO Satish Mehta氏の退任を発表しました。AI統合の加速とメンバーシッププログラムの強化が求められる中でのリーダーシップ交代となります。
Chewyはペット用品のサブスクリプションモデルで成長してきましたが、Amazon Petやウォルマートとの競争が激化しています。新CTOの選定は、同社のAI戦略とデジタル体験の方向性を左右する重要な人事です。
Coupang取締役のWarsh氏、FRB議長候補に指名で韓国で注目

Coupang board role draws South Korean interest in Fed nominee Warsh
The nomination of Kevin Warsh, a former Federal Reserve governor, as the next chair of the US central bank is drawing attention in South Korea.
Coupangの取締役を務めるKevin Warsh氏が、次期FRB議長候補に指名されました。元FRB理事である同氏の指名は、韓国のEC業界でも注目を集めています。
Warsh氏がFRB議長に就任した場合、Coupangの取締役を退任する必要があるとみられます。米韓のテック・金融の結節点にいる人物の動向として、今後の展開が注目されます。
グローバルEC動向
インド予算案、宅配輸出上限を撤廃しEC越境取引を促進
India Removes Courier Export Cap in Budget 2026 to Boost Global E-Commerce for MSMEs
Union Finance Minister Nirmala Sitharaman announces the removal of the ₹10 lakh export cap on courier shipments in Budget 2026.
インドのSitharaman財務大臣は2026年度予算案で、宅配便による輸出の上限額を撤廃すると発表しました。中小企業やスタートアップの越境EC参入を後押しする狙いです。
これまで少額輸出を行う中小事業者にとって、上限規制が越境ECの成長を制約していました。規制緩和により、インドの手工芸品や地域産品がグローバルなECマーケットプレイスでより広く販売できるようになります。
インドはEC市場の急成長が続いており、今回の規制緩和は国際的な競争力強化に向けた重要な政策転換です。
米国小売市場、2030年に6.2兆ドルへ — 店舗販売が依然優勢(Forrester予測)

US retail to hit $6.2 trn as in-store sales stay dominant: Forrester
US retail sales excluding automotive and gasoline are forecast to rise to $6.2 trillion by 2030 from $5.2 trillion in 2025.
Forresterの最新予測によると、米国の小売売上高(自動車・ガソリン除く)は2025年の5.2兆ドルから2030年に6.2兆ドルに拡大する見通しです。注目すべきは、店舗販売が依然として主力チャネルであるという点です。
EC化率の上昇が続く一方で、実店舗の存在感は依然として大きく、オムニチャネル戦略の重要性が改めて確認される結果となっています。安定したインフレと堅調な消費需要が成長を下支えしています。
詳細記事: 米国小売市場、2030年に6.2兆ドルへ — Forrester予測
まとめ
2月2日のニュースでは、AIショッピングをめぐる競合各社のAmazon対抗アライアンスの形成が最大のトピックです。先週のUCP発表に続き、AIコマースのエコシステムが急速に形づくられつつあります。中国ではAIアルゴリズムが消費低迷への対抗策として定着し始め、自動車業界にもエージェンティックコマースが波及しています。
一方、Saks/Amazon提携の終了は、ラグジュアリーECにおけるプラットフォーム戦略の難しさを示しました。米国テック企業ではAI活用による利益率向上と人員最適化が同時進行しており、この構造変化は今後も続く見通しです。
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