SalesforceとGoogleが「Universal Commerce Protocol」を共同発表、AIショッピングの新標準が始動
鈴木章広
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Source: smallbiztrends.com
この記事のポイント
- SalesforceとGoogleがAI駆動の買い物体験を統一する新プロトコル「UCP」を発表
- 20社超のグローバルパートナーが参画し、AIエージェント経由のEC取引が標準化へ
- EC事業者はUCP対応で、Google検索のAIモードやGeminiアプリから直接購入を獲得可能に
SalesforceがGoogleのUCPサポートを発表

Salesforce and Google Launch Universal Commerce Protocol for AI-Driven Shopping
Discover how Salesforce and Google are revolutionizing online shopping with the launch of the Universal Commerce Protocol, an innovative framework designed to enhance AI-driven shopping experiences. Learn about its implications for retailers and consumers alike.
2026年1月14日、SalesforceはGoogleとのパートナーシップ拡大を発表し、新しいオープン標準「Universal Commerce Protocol(UCP)」のサポートを開始すると明らかにしました。UCPは、AIエージェントとマーチャントのバックエンドシステムを標準化された方法で接続するためのフレームワークです。
Salesforceの「Agentforce Commerce」を利用するマーチャントは、UCPのネイティブサポートにより、Google検索の「AIモード」やGeminiアプリといったGoogleのAIサーフェス上で、新しいAI駆動のショッピング体験を提供できるようになります。
背景と業界動向
UCPの登場は、オンラインショッピングにおける構造的な変化を反映しています。消費者はGeminiやChatGPT、PerplexityといったAIサーチエンジンを通じて商品を探すようになり、従来の小売サイトへの直接訪問が減少しつつあります。
Salesforceの発表によれば、2025年のサイバーウィーク期間中、AIが2,620億ドルもの売上を牽引しました。この数字は、コマースにおけるAIの影響力がすでに無視できない水準に達していることを示しています。
こうした背景のもと、Googleは2026年1月11日のNRF(全米小売業協会)年次カンファレンスでUCPを正式に発表しました。Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartといった大手リテーラーが開発に参画し、Adyen、American Express、Mastercard、Visa、Stripeなど決済プロバイダーを含む20社以上がエコシステムパートナーとして名を連ねています。
UCPの技術的仕組みとSalesforce統合の詳細
UCPは「エージェンティックコマース」、つまりAIエージェントが消費者に代わって商品検索から購入までを遂行する時代に向けた共通言語です。その設計には3つの特徴があります。
まず「ケイパビリティの宣言と発見」です。マーチャントは自社が対応可能な機能(在庫確認、ロイヤリティプログラム、カスタム機能など)をプロファイルとして公開します。AIエージェントはこのプロファイルを動的に発見し、対応可能な範囲で取引を進めます。
次に「柔軟な統合方式」です。UCPはAPI、Agent2Agent(A2A)、Model Context Protocol(MCP)といった複数の接続方式をサポートしており、マーチャントの技術環境に応じた導入が可能です。
さらに「決済アーキテクチャの分離」があります。消費者が使う決済手段(Google Payなど)と、決済処理を担うプロセッサーを分離するユニークな設計を採用しています。これにより、多様な決済プロバイダーへのスケーリングが容易になります。
Salesforceの統合においては、Agentforce Commerceにネイティブの事前構築済み統合として提供されます。Salesforce側のNitin Mangtani氏(SVP兼GM、Agentforce Commerce and Retail)は「マーチャントがリーチを拡大しながら、顧客との直接的な関係性と運用の完全なコントロールを維持できる」と述べています。
一方、GoogleのAshish Gupta氏(VP/GM、Merchant Shopping)は「UCPがオープン標準としてAI駆動のショッピング体験とマーチャントシステムを接続し、より多くの小売業者が参加できるようにする」と語っています。
EC事業者への影響と活用法
UCPがEC事業者にもたらすインパクトは大きく分けて3つあります。
第一に「新しい販売チャネルの獲得」です。Google検索のAIモードやGeminiアプリ上で、消費者が商品を調べているその瞬間にチェックアウトを完了させることが可能になります。これは従来のSEOやリスティング広告とは異なる、AIネイティブな集客チャネルです。
第二に「統合コストの削減」です。標準化されたプロトコルにより、個別のAIプラットフォームごとにカスタム統合を構築する必要がなくなります。Agentforce Commerceを利用中の事業者であれば、プレビルト統合を活用して迅速に市場投入できます。
第三に「マーチャントとしての主導権維持」です。UCP上の取引においても、マーチャンダイジング、フルフィルメント、カスタマーサービス、購入後の対応はすべてマーチャント側がコントロールします。AIエージェントが自律的に取引を完了する場合でも、必要に応じて人間のスタッフへの「グレースフルハンドオフ」が設計されています。
ただし、具体的なロールアウト時期やマーチャントの参加条件はまだ確定していません。SalesforceはGoogleおよびエコシステムパートナーと「技術要件、マーチャント適格性、展開順序、サポートモデル」を策定中としています。
まとめ
UCPは、単なるAPI仕様ではなく、AIエージェントがコマースの主要チャネルとなる時代のインフラ標準です。Shopify、Walmart、Targetといった大手に加え、SalesforceのAgentforce Commerce経由で中小規模のマーチャントにも門戸が開かれています。
EC事業者が今すぐ取るべきアクションは、まずGoogle Merchant Centerのデータ属性を最新に保つことです。UCPでは商品情報の正確性がAIエージェントによる推薦精度に直結します。さらに、Salesforce Commerce Cloudを利用中の事業者は、Agentforce CommerceのUCPサポートに関する続報を注視し、早期のオンボーディングに備えるべきです。
AIが買い物の「目的地」ではなく「会話」になる時代が、確実に近づいています。
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