自動車業界初のAIコマース「AgentUnify」が登場 ── ChatGPTで車が買える時代へ
鈴木章広
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Source: www.lansingstatejournal.com
この記事のポイント
- Porsche AG出資のAutoUnifyが、自動車業界初のAIコマースソリューション「AgentUnify」を発表。ChatGPTなどのAIエージェント上で車両検索から試乗予約・サービス予約まで完結できる
- 消費者の半数以上がAIを検索に利用する時代に、「Webサイトへの誘導」から「会話内での購買完結」へとコマースの形が根本的に変わる兆しを示している
- 自動車に限らず、AIエージェントが購買プロセスを代行する「エージェンティックコマース」への対応が全業界で急務になる
AutoUnify、AIチャット内で車両購入を完結させる新サービスを発表

AutoUnify Launches AgentUnify, the First AI-Commerce Solution for the Automotive Industry
AutoUnify launches AgentUnify, the first AI commerce solution for the automotive industry.
2026年1月26日、米カリフォルニア州サンタモニカに拠点を置くAutoUnifyが、自動車業界初のAIコマースソリューション「AgentUnify」のローンチを発表しました。AgentUnifyを導入したディーラーやOEMのブランドは、ChatGPTなどのAIチャットボット上で「ショッパブル」になります。消費者はAIとの会話を離れることなく、車両の検索・比較、試乗予約、サービス予約までを完了できるようになります。
CEOのJoel Milne氏は「Webサイトを単にAIに発見可能にするだけでは不十分です。コマースはエージェンティックになりつつあり、顧客はチャット体験の中で直接アクションを完了することを期待しています」と述べています。
背景と業界動向
AutoUnifyは2025年5月にPorsche AGとUP.Labsの共同出資で設立されたスタートアップです。CEOのMilne氏はモバイル自動車修理サービス「RepairSmith」の創業者で、同社は2023年1月にAutoNationに1億9,000万ドルで買収された実績を持ちます。その経験から自動車小売業界のシステム統合の課題を熟知しており、AutoUnifyの創業に至りました。
自動車ディーラーは平均40以上のソフトウェアシステムを利用しており、DMS(ディーラー管理システム)、CRM、在庫管理、デジタルリテーリング、決済処理など、断片化したツール群が業界全体で数十億ドル規模の非効率を生んでいます。AutoUnifyはまず統合APIプラットフォーム「AppUnify」でこの課題を解決し、その基盤の上にAIコマース層として「AgentUnify」を構築しました。
一方、AIエージェントを介したコマースは業界横断で急速に進展しています。2026年1月にはGoogleがUCP(Universal Checkout Protocol)を発表し、AI検索モードから直接チェックアウトできる仕組みの導入を進めています。AnthropicのMCP(Model Context Protocol)もLinux Foundation傘下のAAIFに移管され、業界標準として普及が加速しています。
AgentUnifyの仕組み ── 「リード獲得」から「予約獲得」への転換
AgentUnifyの技術的な核心は、AutoUnifyの統合APIプラットフォーム「AppUnify」にあります。AppUnifyは主要なDMSやSMS(ショップ管理システム)との正規化された接続を提供しており、AgentUnifyはこのデータ基盤をAIエージェントに公開することで、リアルタイムの在庫情報、価格、サービス空き状況などをチャット内で活用可能にします。
従来のディーラーWebサイトでは、消費者がフォームに情報を入力し、その「コールドリード」を営業担当が電話でフォローするという流れでした。AgentUnifyはこのプロセスを根本から変えます。AIエージェントが消費者の要望をヒアリングし、条件に合った車両を提示し、試乗やサービスの予約まで完了させます。ディーラーが受け取るのは「コールドリード」ではなく「確定済みの予約」です。Milne氏はこれによりコンバージョン率と顧客体験が大幅に向上すると説明しています。
対象顧客はOEM、ディーラーグループ、自動車サービスプロバイダーで、販売・サービス両方のユースケースに対応しています。
EC事業者への影響と活用法
AgentUnifyは自動車業界向けのソリューションですが、その示唆はEC業界全体に及びます。
1. AIエージェント対応が新たなSEOになる消費者の半数がAIを検索に利用する現在、「Googleで上位表示される」だけでなく「AIエージェントが自社商品を推薦・購入処理できる」状態を作ることが競争優位になります。Gartnerは2026年末までに企業アプリケーションの40%がタスク特化型AIエージェントを搭載すると予測しています。
2. 「会話内コマース」への備えGoogleのUCP、AnthropicのMCP、そして今回のAgentUnifyは、いずれも「ユーザーがAIとの会話から離脱せずに購買を完了する」世界を目指しています。ECサイト事業者は、商品データをAIが読み取れる構造化された形式で公開し、在庫・価格のリアルタイムAPI連携を整備することが今後の必須課題となります。
3. リードからアクションへのシフト従来の「問い合わせフォーム→営業フォロー」というファネルは、AIエージェントが即座に予約や購入を完了させる世界では陳腐化します。高単価商材を扱うEC事業者ほど、この変化のインパクトは大きいでしょう。
まとめ
AutoUnifyのAgentUnifyは、自動車という高額商材の購買プロセスをAIチャット内で完結させるという、エージェンティックコマースの本格的な実装例です。Porsche AG出資という信頼性、40以上のディーラーシステムを統合するAppUnifyという技術基盤、そして「コールドリードから確定予約へ」という明確な価値提案を備えています。
GoogleのUCPやAnthropicのMCPといったプロトコル標準化の動きと合わせて見ると、2026年はAIエージェントがコマースの主要チャネルとして確立する年になりそうです。自動車業界に限らず、すべてのEC事業者にとって「AIエージェントから買える状態」を作ることが、次の競争の分水嶺となるでしょう。
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