Talon.Oneが「Unified Incentives Protocol」を発表 ― AIエージェントにロイヤルティと割引を見せる新標準
鈴木章広
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Source: www.businesswire.com
この記事のポイント
- Talon.OneがAIエージェント向けにロイヤルティ・プロモーション情報を機械可読にする「Unified Incentives Protocol(UIP)」を発表
- GoogleのUniversal Commerce Protocol(UCP)向けにロイヤルティ・割引の拡張機能を提供し、Gemini等のAIエージェントから利用可能に
- エージェンティックコマース時代に「価格競争」ではなく「インセンティブの可視化」でブランド選択を勝ち取る新たな戦略が必要に
Talon.One、エージェンティックコマース向け新プロトコルを発表

Talon.One Announces Unified Incentives Protocol to Power Loyalty and Promotions in Agentic Commerce
Talon.One launches Unified Incentives Protocol making loyalty and promotions machine-readable for AI agents, including native MCP server support.
2026年1月28日、エンタープライズ向けプロモーション・ロイヤルティプラットフォームを提供するTalon.Oneが、Unified Incentives Protocol(UIP)を発表しました。UIPは、クーポン・ポイント・割引・リワードといったインセンティブ情報をAIエージェントが読み取れる標準化されたフォーマットで提供するためのプラットフォーム非依存の仕様です。
エージェンティックコマースの急速な台頭
エージェンティックコマースとは、AIエージェントが商品検索から購入手続きまでを自律的に実行する新しい商取引の形です。2025年のホリデーシーズンにはエージェンティック技術が小売業で2,620億ドルの売上に貢献したとされ、エージェンティックコマースは2030年までに米国だけで最大20%の市場シェアを占めると予測されています。
この流れを加速させたのが、Googleが2026年1月のNRF(全米小売業協会)カンファレンスで発表したUniversal Commerce Protocol(UCP)です。Google Developers Blogによると、UCPは商品発見からチェックアウト、注文管理までの商取引フロー全体を標準化するオープンソース仕様で、Shopify、Target、Walmart、Visa、Mastercardなど20社以上のグローバルパートナーが参画しています。UCPはAPI、Agent2Agent(A2A)、そしてModel Context Protocol(MCP)の3つの統合方式に対応しており、AIエージェントがcreate_checkoutのようなツールを直接呼び出せる設計になっています。
Unified Incentives Protocolの仕組み
UIPが解決する課題
従来、ロイヤルティプログラムやプロモーション情報はERP、POS、ECプラットフォーム、CRMなど複数のシステムに分散していました。人間の買い物客であれば商品ページでクーポンコードを入力したり、ポイント残高を確認したりできますが、AIエージェントにはこれらの情報が「見えない」状態でした。UIPはこの断片化を解消し、インセンティブ情報をリアルタイムで機械可読にします。
Google UCP拡張としての第一弾
UIPの最初の具体的成果として、Talon.OneはGoogle UCP向けにロイヤルティ拡張とディスカウント拡張の2つをリリースしました。Talon.Oneの公式ブログによると、これらの拡張機能により、UCP対応エージェントは以下の情報にアクセスできるようになります。
- ロイヤルティ情報: 顧客のポイント残高、ティアステータス、取引ごとのポイント獲得・利用状況、カードベースのロイヤルティプログラム
- ディスカウント情報: 適用範囲(商品・カート・配送)、割引タイプ(%・定額)、コードベースまたは自動適用、割引の重ね合わせルール
MCPが担う役割
MCPを介することで、AIエージェントは「このブランドはロイヤルティ会員なら送料無料で、リピート購入にはボーナスギフトが付く」といった情報を検知できます。Talon.OneのCEO、Christoph Gerber氏は次のように述べています。
GeminiがブランドAをブランドBよりも推奨する理由が、単なる価格や好みではなく、その購入で200ポイント獲得でき、ゴールドティアのステータスが解放されるからだと想像してみてください引用元:Christoph Gerber, CEO of Talon.One(Business Wire)
EC事業者への影響と活用法
「価格」だけでなく「インセンティブ」で選ばれる時代
エージェンティックコマースにおいて、AIエージェントは複数のブランドを比較して最適な選択肢を提示します。価格だけの競争では持続可能性がありません。ロイヤルティポイント、限定特典、パーソナライズされた割引といったインセンティブを機械可読にすることで、価格以外の差別化要因をAIエージェントに伝えることができます。
インセンティブの一元管理が必須に
ERP、POS、ECプラットフォームなど複数システムに分散したプロモーション情報は、AIエージェントにとって大きな障壁です。Talon.Oneが指摘するように、エージェンティックコマースで成功するためには、プロモーションとロイヤルティの一元管理が不可欠です。
今すぐ準備を始めるべき理由
現在すでに消費者の22%がAIを商品発見に活用しており、この割合は急速に拡大しています。UCP対応やMCPサーバーの構築は技術的な投資が必要ですが、早期に取り組むことで競合に対して大きなアドバンテージを得られます。Talon.Oneは今後、UCP以外のエージェンティックプラットフォーム向けにもインセンティブ拡張を開発していく方針を示しています。
まとめ
Talon.OneのUnified Incentives Protocolは、エージェンティックコマース時代における「インセンティブのインフラ」を構築する試みです。Google UCPやMCPといったオープン標準と連携することで、AIエージェントがブランドのロイヤルティプログラムや割引情報をリアルタイムに理解し、消費者により良い提案ができるようになります。
EC事業者にとって重要なのは、AIエージェントが新たな「チャネル」であるという認識です。Webサイトやモバイルアプリを最適化するのと同じように、AIエージェント向けにインセンティブ情報を整備することが、今後の競争力の鍵となるでしょう。
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