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ビル・ゲイツの娘が創業したAIショッピングエージェント「Phia」—3,500万ドル調達の全貌

鈴木章広

鈴木章広

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2026/01/28

この記事のポイント

  1. Phiaは価格比較・リセール提案・パーソナライズ推薦を行うAIショッピングエージェント
  2. 初期費用ゼロの成果報酬型モデルで6,200以上の小売パートナーを獲得
  3. 10ヶ月で収益11倍成長、1億8,500万ドル評価で3,500万ドル調達

AIがユーザーに代わって商品を探し、比較し、最適な選択肢を提案する「AIショッピングエージェント」。その代表的なサービスとして急成長しているのがPhia(フィア)だ。

2026年1月、Phiaは1億8,500万ドルの評価額で3,500万ドル(約52億円)のシリーズA資金調達を完了した。Khosla VenturesとNew Enterprise Associatesが共同リードし、Forerunner Ventures、Weekend Fund、Gaingelsなどが参加した。

Phia Raises $35 Million to Power the Future of AI-Driven Shopping

Phia Raises $35 Million to Power the Future of AI-Driven Shopping

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Phia, the AI-powered shopping platform, today announced it has raised $35 million in Series A funding.

Phiaとは何か

Phiaは2023年に創業されたAIショッピングエージェントだ。共同創業者はPhoebe Gates(ビル・ゲイツの娘)とSophia Kianni。モバイルアプリとChrome拡張機能を通じて、消費者のショッピング体験を根本から変えようとしている。

主な機能

Phiaが提供する主な機能は以下の3つだ。

価格比較: 複数の小売サイトから同一商品の価格を自動収集し、最安値を提示する。ユーザーが欲しい商品を見つけたら、Phiaがより安く買える場所を探してくれる。

リセール代替案の提示: 新品だけでなく、中古品やリセール品も選択肢として提案する。サステナビリティを重視する消費者に対し、環境負荷の低い購買オプションを提供する。

パーソナライズ推薦: ユーザーの好みや過去の購買履歴を学習し、個人に最適化された商品を提案する。「黒いドレスが欲しい」と伝えれば、予算・スタイル・ブランドの好みを考慮した選択肢を提示する。

ユーザー体験

Phiaの特徴は、自然言語でのコミュニケーションだ。ユーザーは検索キーワードを考える必要がない。「来週の結婚式に着ていくドレスを探している。予算は3万円以内で、青か紺色がいい」といった会話形式で要望を伝えるだけで、Phiaが最適な商品を探し出す。

現在、100万人以上のユーザーがPhiaを利用している。

ビジネスモデル

Phiaのビジネスモデルは、小売業者にとって極めて魅力的な設計になっている。

初期費用ゼロ・成果報酬型

小売業者がPhiaと提携する際、初期費用は一切かからない。料金が発生するのは、Phiaを通じて実際に購入が発生した場合のみだ。つまり、成果報酬型(パフォーマンスベース)のモデルである。

この仕組みにより、小売業者はリスクなくPhiaを試すことができる。現在、6,200以上の小売パートナーがPhiaと提携している。

小売業者へのメリット

Phiaは提携小売業者に対し、以下のような成果を報告している。

  • コンバージョン率: 13%向上
  • 顧客獲得コスト: 30%改善
  • 返品率: 50%削減
  • 平均注文額(AOV): 15%向上

特に返品率の50%削減は注目に値する。AIが消費者の好みを正確に理解し、本当に欲しい商品を提案することで、「思っていたのと違った」という返品を大幅に減らせるという。

急成長の実績

Phiaの成長速度は驚異的だ。

わずか10ヶ月で収益が11倍に成長した。ユーザー数は100万人を突破し、小売パートナーは6,200社以上に達している。

この急成長が評価され、シリーズAで1億8,500万ドルという高い評価額がついた。

エージェンティックコマースにおける位置づけ

エージェンティックコマースの世界では、様々なプレイヤーがポジションを争っている。

Phiaが狙うのは「コマースファネルの最上流」だ。消費者が「何を買うか」を決める段階から関与することで、購買行動全体に影響を与えようとしている。

これは、決済インフラ側からアプローチするMastercardの Agent PayAgent Suiteとは対照的だ。Mastercardは「どう支払うか」の段階で価値を提供するが、Phiaは「何を買うか」の段階で価値を提供する。

両者は競合ではなく、むしろ補完関係にある。消費者がPhiaで商品を選び、Agent Payで支払うという流れが、将来のエージェンティックコマースの標準的な姿かもしれない。

EC事業者への示唆

Phiaの急成長は、EC事業者に重要な示唆を与えている。

AIショッピングエージェント対応の重要性

消費者がAIショッピングエージェントを通じて商品を探す時代が来ている。従来のSEO対策だけでなく、AIエージェントに自社商品を適切に認識・推薦してもらうための対策が必要になる。

成果報酬型パートナーシップの検討

Phiaのような成果報酬型プラットフォームは、リスクなく新規顧客獲得チャネルを試す機会を提供している。特に返品率の高さに悩む事業者にとって、AIによるマッチング精度向上は魅力的なソリューションとなりうる。

まとめ

Phiaは、AIショッピングエージェントという新しいカテゴリーを牽引するスタートアップだ。ビル・ゲイツの娘という話題性だけでなく、10ヶ月で収益11倍という実績、6,200社以上の小売パートナー、100万人以上のユーザーという数字が、サービスの本質的な価値を証明している。

エージェンティックコマースの時代において、「消費者が何を買うか」を決める段階で影響力を持つプレイヤーの重要性は増していく。Phiaの今後の動向は、EC業界全体にとって注目に値する。

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