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Mastercard、エージェンティックコマース向け「Agent Suite」を発表 ── 銀行・マーチャント向けAIエージェント構築支援サービス

鈴木章広

鈴木章広

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2026/01/28

この記事のポイント

  1. MastercardがAIエージェント構築・展開支援サービス「Agent Suite」を発表、2026年Q2提供開始
  2. 決済インフラのAgent Payとは異なり、商品発見・会話型ショッピングなど顧客体験全体をカバー
  3. EC事業者は在庫・価格・ブランドボイスのルール設定でAIエージェント対応を本格化できる

Mastercard、企業向けAIエージェント支援サービスを発表

Mastercard launches Agent Suite for AI commerce

Mastercard launches Agent Suite for AI commerce

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Mastercard announces Agent Suite to help merchants prepare for agentic commerce era.

2026年1月27日、Mastercardは投資家向けプレスリリースにて、エージェンティックコマース時代に向けた新サービス「Mastercard Agent Suite」を発表しました。提供開始は2026年第2四半期を予定しています。

Agent Suiteは、企業がAIエージェントを構築・テスト・展開するための包括的なソリューションです。Mastercardの決済専門知識、データ分析基盤、独自テクノロジー、そして世界4,000名のアドバイザーを活用し、企業のエージェンティックAI導入を支援します。

背景と業界動向

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが消費者に代わって商品検索から購入までを自律的に行う新しい商取引の形態です。eMarketerの予測によれば、2028年までに企業向けソフトウェアアプリケーションの3分の1がエージェンティックAIを搭載するとされています。

Mastercardは2030年までに、顧客対応や業務タスクの相当部分がAIエージェントによって支援されると予測しています。しかし現状、多くの企業はこの変化に対応するツールや知見を持っていません。Agent Suiteは、まさにこのギャップを埋めるためのサービスとして位置づけられています。

Agent SuiteとAgent Payの違い ── 決済基盤と顧客体験基盤

ここで重要なのは、今回発表された「Agent Suite」と、2025年に発表された「Agent Pay」は異なるサービスだという点です。

Agent Payは、AIエージェントが決済を実行する際の認証・トークン化フレームワークです。「Agentic Tokens」と呼ばれる専用トークンを発行し、AIエージェントが利用者に代わって安全に決済できる仕組みを提供します。PYMNTSの報道によると、FiservはこのAgent Pay Acceptance Frameworkを自社の決済インフラに統合済みです。

一方、Agent Suiteは決済以前のプロセス、つまり商品発見、パーソナライゼーション、会話型ショッピングといった顧客体験全体をカバーするソリューション群です。技術サポートとカスタマイズ可能なAIエージェントを組み合わせ、企業が自社に最適なエージェントを構築できるよう支援します。

つまり、Agent Payが「決済のインフラ」であるのに対し、Agent Suiteは「顧客体験の構築基盤」という位置づけになります。

Agent Suiteの具体的な機能と初期ユースケース

Agent Suiteの初期ユースケースは、銀行向けとマーチャント向けの2つに大別されます。

銀行向け:インテリジェントな商品発見 銀行は、顧客に対してAIエージェントを通じた商品レコメンデーションを提供できます。例えば、旅行向けカードや手数料削減につながる口座など、顧客のニーズに合った金融商品をリアルタイムで提案し、その効果を追跡できます。

マーチャント向け:パーソナライゼーション×会話型ショッピング EC事業者にとってより注目すべきはこちらです。マーチャントは、在庫状況、利益率、プロモーション、ブランドボイスといったルールをAIエージェントに設定できます。このエージェントは、購買ジャーニーの重要な場面で会話型のガイダンスを提供し、消費者は好みに基づいたリアルタイムのパーソナライズされた推奨を受けられます。

Agent Suiteは「プライバシーと責任あるAI」を設計原則とし、Mastercardのセキュリティ基準に準拠して構築されます。

主要プラットフォームとの連携拡大

MastercardはAgent Suite発表と同時に、主要テクノロジー企業との連携も強化しています。

Googleとの協業では、Universal Commerce Protocol(UCP)への参画を発表しました。UCPはAIエージェントとマーチャント間の相互運用性を実現するオープンプロトコルです。さらにGoogleのAgent Payments Protocol、Agent2Agent Protocolとも連携を進めています。

Microsoftとは、Agent PayをCopilot Checkoutに統合する取り組みを進行中です。また、OpenAIのAgentic Commerce ProtocolやCloudflare、PayPalとも協力し、セキュアで意図に基づくエージェンティックコマースの実現を目指しています。

EC事業者への影響と活用法

EC事業者にとって、Agent Suiteの登場は「AIエージェント対応」を本格的に検討すべきタイミングが来たことを意味します。

導入を検討すべきポイント
  • 自社の商品データ、在庫情報、価格ルールの整備
  • ブランドボイスやコミュニケーションガイドラインの明文化
  • 会話型インターフェースを想定した商品説明の最適化

利用可能時期 Agent Suiteは2026年第2四半期(4-6月)に提供開始予定です。まずは自社のデータ基盤を整備し、AIエージェントがアクセスできる形に情報を構造化しておくことが重要です。

まとめ

MastercardのAgent Suiteは、エージェンティックコマース時代における「顧客体験の構築基盤」として位置づけられます。決済認証を担うAgent Payと組み合わせることで、商品発見から購入完了まで一貫したAIエージェント体験を実現できます。

Google、Microsoft、OpenAIといった主要プレイヤーとのプロトコル連携も進んでおり、エージェンティックコマースのエコシステムは急速に形成されつつあります。EC事業者は、この流れを見据えた戦略的準備を今から始めるべきでしょう。

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