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Mastercard、オーストラリアで初のAIエージェント決済を実行 ── Agent Payが「実取引」フェーズに突入

鈴木章広

鈴木章広

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2026/01/30

この記事のポイント

  1. MastercardがCBA・Westpacのカードを使い、豪州初のAIエージェント認証済み決済を完了
  2. Agent Suite発表からわずか数日で実取引に成功、エージェンティックコマースが概念から現実へ移行
  3. EC事業者はAIエージェントからの購買に対応する準備を今すぐ始めるべき段階に入った

豪州初、AIエージェントが映画チケットと宿泊を自律購入

Mastercard pulls off Australia's first AI agent payment as agentic commerce goes live

Mastercard pulls off Australia's first AI agent payment as agentic commerce goes live

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The way we shop online is about to undergo its most significant shift in decades with the rise of AI-powered shopping agents.

AI搭載のショッピングエージェントの台頭により、オンラインショッピングのあり方はここ数十年で最も大きな転換期を迎えようとしている。
引用元:techAU

2026年1月28日、Mastercardはオーストラリアで初となるAIエージェントによる認証済み決済(Authenticated Agentic Transaction)の成功を公式に発表しました。使用されたのはCommonwealth Bank(CBA)のデビットカードとWestpacのクレジットカードです。

具体的な取引内容は2件です。CBAのデビットカードで「Event Cinemas」の映画チケットを購入し、Westpacのクレジットカードで「Thredbo」の宿泊施設を予約しました。いずれも「Matilda」と名付けられた大規模言語モデル(LLM)を通じて実行されています。

業界動向

今回の発表が持つ意味は、1月27日に発表されたAgent Suiteのタイミングと合わせて理解する必要があります。Mastercard Agent Suiteは企業がAIエージェントを構築・展開するための包括的支援サービスです。一方、今回の豪州実取引は決済インフラ「Agent Pay」の実証であり、両者は異なるレイヤーのサービスです。

Agent Payは2025年4月に発表され、米国で先行展開されてきました。それが今回、オーストラリアで初めて「実際のカード」「実際の加盟店」を使った認証済み取引に成功したことで、概念実証(PoC)から商用展開への移行が明確になりました。

McKinseyの推計によれば、エージェンティックコマースは2030年までにBtoC物販だけで最大5兆ドル規模の市場になるとされています。Mastercardが「実取引」を急いだ背景には、ライバルVisaがNABやANZと提携し「Intelligent Commerce」を発表している競争環境があります。

「Matilda」によるAgent Pay取引の仕組み

今回の取引で中核的な役割を果たしたのは、オーストラリア製のLLM「Matilda」です。Agent Payの取引フローは以下のように構成されています。

まず、AIエージェントがMastercardネットワークに「登録・認証」されます。各エージェントには固有の識別子が付与され、「エージェンティックトークン」と呼ばれる暗号化された動的認証情報を使って取引を行います。これにより、銀行、決済事業者、加盟店のすべてが「この取引はAIエージェントによるもの」と認識できます。

セキュリティ面では、ユーザーが購入したい商品を明確に指示し、生体認証で承認する必要があります。さらに、指示内容と実際の購入内容が一致しているかの照合プロセスも組み込まれています。Mastercardの担当者は「AIエージェントが暴走するリスクはない」とtechAUの取材に対して説明しています。

豪州が「世界初の実証市場」に選ばれた意味

オーストラリアが最初の実取引市場に選ばれたことには戦略的な意味があります。豪州の4大銀行のうちCBAとWestpacがMastercard側に、NABとANZがVisa側についており、エージェンティックコマースの市場競争が国内で二分化している状況です。

また、オーストラリアは非接触決済の普及率が世界トップクラスであり、新しい決済技術に対する消費者の受容性が高い市場です。Mastercardは豪州での成功を足がかりに、他のアジア太平洋地域への展開を加速させる狙いがあると考えられます。

EC事業者への影響と活用法

Mastercardは豪州の消費者向けに「数ヶ月以内」のロールアウトを予告しています。EC事業者が今から準備すべきポイントは3つあります。

AIエージェント対応の技術整備として、Agent Payを通じた取引を受け入れるためには、加盟店側のシステムがエージェンティックトークンを認識できる必要があります。決済プロバイダーとの連携状況を確認すべきです。

商品情報の構造化も重要です。AIエージェントは商品を検索・比較して購入判断を行います。商品名、価格、在庫状況、スペックなどの情報が構造化されていなければ、エージェントの購買対象から外れるリスクがあります。

セキュリティポリシーの見直しも必要です。従来の不正検知システムは「人間による購買」を前提に設計されています。AIエージェントからの正規取引を誤ってブロックしないよう、ルールの更新が求められます。

まとめ

Mastercardの豪州実取引は、エージェンティックコマースが「発表」から「実行」のフェーズに移行したことを示す象徴的な出来事です。Mastercard Agent Suite発表からわずか1日後の実取引成功は、Mastercardがインフラ側(Agent Pay)とサービス側(Agent Suite)の両面から市場を押さえにかかっていることを意味します。

今後数ヶ月で豪州での一般消費者向けロールアウトが始まり、Visa陣営との競争も本格化します。EC事業者にとっては、AIエージェントからの購買を「受け入れられる」体制を整える猶予期間が残りわずかとなっています。MastercardはMicrosoft Copilot Checkoutとの連携も進めており、エージェンティックコマースのエコシステムは急速に拡大しています。

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