Omise AI

Pinch AIがEC返品詐欺対策で$500万調達:年間$1000億の損失問題に挑む

鈴木章広

鈴木章広

Twitter
2026/01/16

この記事のポイント

  1. PayPal・Googleベテラン創業のPinch AIが$500万調達、年間$1000億の返品詐欺に挑む
  2. 7%の顧客が70%の返品を行う問題を特定、導入企業は返品率8%減を達成
  3. 返品レビューの80%を自動化し、貢献利益10%向上の事例も

EC業界の隠れた大問題

Exclusive: Return fraud startup Pinch AI, built by PayPal vets, lands $5M to protect retailer margins

Exclusive: Return fraud startup Pinch AI, built by PayPal vets, lands $5M to protect retailer margins

別タブで開く

Pinch AI has raised $5 million in seed funding, co-led by Dynamo Ventures and Infinity Ventures.

ECの世界では、売上を伸ばすことに注目が集まりがちだ。しかし、売上の裏側で巨額の損失が発生していることを知る人は少ない。

返品詐欺(Return Fraud)である。

米国の小売業者は年間約$1000億(約15兆円)の損失を返品関連で被っている。この問題に正面から取り組むスタートアップ、Pinch AIが$500万のシード資金を調達した。

Pinch AIとは

創業者の経歴

Pinch AIは、PayPalとGoogleでEC詐欺対策システムを構築してきたベテランエンジニアたちが創業した。

共同創業者兼CEOのArthi Rajan Makhija氏らは、前職で数十億ドル規模の取引を保護する詐欺・不正利用対策システムを構築した経験を持つ。

資金調達

  • 調達額: $500万(シードラウンド)
  • リード投資家: Dynamo Ventures、Infinity Ventures(共同リード)
  • その他投資家: Defined Capital、PayPal Ventures
  • 本社: カリフォルニア州サンノゼ

返品詐欺の実態

衝撃的な数字

Pinch AIのデータによると:

指標数値
全EC購入に対する返品率約25%
完全な損失となる返品5%
使用済み・破損品として返却10%
返品全体の70%を占める顧客の割合わずか7%
悪質な濫用を行う顧客の割合わずか0.5%

つまり、ごく少数の悪質な顧客が、返品問題の大部分を引き起こしている

主な手口

ワードローブィング(Wardrobing)

特別なイベント(結婚式、パーティーなど)用に商品を購入し、タグを付けたまま使用した後に返品する行為。

SKUスワップ

新品を購入し、手元にある古いバージョンの同一商品を返品として送る詐欺行為。

導入効果

Pinch AIを導入した小売業者の実績:

指標改善幅
返品率約8%減少
VIP顧客維持率20%向上
返品レビュー自動化率80%
貢献利益10%向上(導入数ヶ月後)

エージェンティックコマース時代への示唆

エージェンティックコマースが普及すると、AIエージェントが顧客に代わって購入を行うようになる。これは新たな詐欺リスクをもたらす可能性がある。Pinch AIのような購入後インテリジェンスは、この新しい時代においてさらに重要性を増すだろう。

まとめ

Pinch AIは、ECの「見えない出血」とも言える返品詐欺問題に取り組む注目のスタートアップだ。PayPal/Googleで培われた詐欺対策の知見、AIによる自動化、そして「7%の顧客が70%の返品」という洞察に基づくターゲティングにより、小売業者に具体的な成果をもたらしている。

関連記事

タグ

E-CommerceAIFraud PreventionStartupFintech

この投稿をシェアする

XFacebookLinkedIn

導入や進め方について まずはお気軽にご相談ください

技術や市場の変化が早い今こそ、早めの整理が有効です。 情報収集から具体化まで、段階に応じてサポートします。

お問い合わせ