GoogleのUCP発表でエージェンティックコマースの勢力図が激変、Amazonの小売支配に疑問符
鈴木章広
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Source: www.geekwire.com
この記事のポイント
- GoogleがUCPを発表、Walmart・Shopify等20社以上が参加するもAmazonは不参加
- 「反Amazon連合」形成の可能性、Amazonは防御的姿勢でPerplexity訴訟や外部AIブロック
- EC事業者は両陣営の動向を注視し、マルチエージェント対応の準備が必要
GoogleがUniversal Commerce Protocolを発表、Amazonは不参加

Google makes a big move into agentic commerce, raising questions about Amazon's retail dominance
Google is making a big push into AI-powered shopping with the release of Universal Commerce Protocol (UCP), a new open technical standard that has backing from major retailers and payment players. Notably, one e-commerce giant is not included.
2026年1月11日、GoogleはNational Retail Federation(NRF)2026において、AIエージェントによるショッピングを標準化する「Universal Commerce Protocol(UCP)」を発表しました。CEOのSundar Pichai氏が登壇し、Walmart、Shopify、Target、Wayfair、Etsy、さらにVisa、Mastercard、Stripeなど20社以上のパートナーと共に開発したオープン標準であることを明らかにしました。
注目すべきは、世界最大のECプラットフォームであるAmazonがこのパートナーリストに含まれていないことです。この「不在」が、エージェンティックコマース時代の勢力図を大きく左右する可能性があります。
背景と業界動向
エージェンティックコマースとは、AIエージェントが消費者に代わって商品検索から購入、配送手配までを自動で行う新しいショッピング形態です。McKinseyの予測によると、2030年までに米国小売で1兆ドル規模の市場になるとされています。
2025年9月にはOpenAIがInstant Checkoutを発表し、ChatGPT上での商品購入を可能にしました。MicrosoftもCopilot Checkoutを発表するなど、大手テック企業がこぞってAIショッピング市場に参入しています。こうした中、Googleは業界標準となるプロトコルを提唱することで主導権を握ろうとしています。
UCPの技術的特徴と「反Amazon連合」の形成
UCPは、AIエージェントが異なるプラットフォーム間でシームレスに動作するための共通言語を提供します。Google公式ブログによると、主な特徴は以下の通りです。
技術的特徴:
- Agent2Agent(A2A)、Agent Payments Protocol(AP2)、Model Context Protocol(MCP)との互換性
- 商品発見から購入、アフターサポートまでの全購買プロセスをカバー
- 既存の小売インフラとの統合が容易
パートナー企業:
- 共同開発: Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmart
- 賛同企業: Adyen、American Express、Best Buy、Flipkart、Macy's、Mastercard、Stripe、The Home Depot、Visa、Zalando
- ローンチ時参加小売: Lowe's、Michaels、Poshmark、Reebok
この顔ぶれを見ると、Amazonの競合となる大手小売がほぼ網羅されています。Walmartの次期CEO John Furner氏は「従来のウェブやアプリ検索からエージェント主導のコマースへの移行は、小売業界の次なる大きな進化」と語り、GoogleのPichai氏と共同でステージに立ちました。
Amazonの防御的戦略
一方、Amazonは外部AIエージェントに対して防御的な姿勢を取っています。
Perplexity訴訟(2025年11月): Amazonは2025年11月、AI検索スタートアップのPerplexityを提訴しました。PerplexityのショッピングエージェントCometがAmazon上で購入を代行する機能について、「Google Chromeブラウザに偽装し、エージェントとして名乗らず不正にアクセスしている」と主張しています。
外部AIのブロック: Amazonは47のAIボットをブロックし、外部AIクローラーによるデータスクレイピングを防止しています。これは同社の560億ドル規模の広告事業を守るための措置とされています。AIエージェントは広告を見ないため、ユーザーがAI経由で購入すると広告収益が失われるためです。
選択的なパートナーシップの可能性: ただし、Amazonのアンディ・ジャシーCEOは「将来的には外部エージェントとのパートナーシップを検討する」と述べており、完全な閉鎖路線ではないことを示唆しています。条件として「パーソナライゼーション、購買履歴の反映、正確な配送予測、正確な価格表示」を挙げ、現状のAIエージェントはこれらを満たしていないと批判しています。
EC事業者への影響と活用法
この勢力図の変化は、EC事業者にとって重要な戦略的判断を迫るものとなります。
短期的な対応(2026年前半):
- Google Merchant Centerの新しいデータ属性への対応
- UCP対応の準備(特にShopifyユーザーは自動対応の可能性)
- 自社サイトでのAIエージェント対応ポリシーの策定
中長期的な戦略:
- マルチエージェント対応: Google(UCP)とOpenAI(ACP)の両方に対応する柔軟なシステム設計
- Amazon依存度の見直し: Amazon以外のチャネル(DTC、他モール)の強化検討
- 顧客データの活用: AIエージェントに正確な情報を提供するためのデータ整備
注意点: Google公式発表では「マーチャントは引き続きMerchant of Record(取引の主体)であり、顧客との関係、データ、購入後の体験を完全に保持する」と明記されています。プラットフォームに顧客を奪われる心配は当面不要です。
まとめ
GoogleのUCP発表は、エージェンティックコマース時代の「スタンダード戦争」の号砲と言えます。Walmart、Shopify、Targetなど主要小売が結集した「反Amazon連合」が形成されつつある一方、Amazonは自社エコシステムを守る防御的戦略を取っています。
2026年は、どのAIエージェントがショッピングのデフォルトになるかを巡る競争が本格化する年になります。EC事業者は両陣営の動向を注視しつつ、マルチエージェント対応の準備を進めることが重要です。次の注目ポイントは、AmazonがUCPに参加するのか、独自のエージェントコマースプロトコルを発表するのかです。
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