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2026年はAIエージェントが小売業を再定義する年に:業界専門家が予測

鈴木章広

鈴木章広

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2026/01/14

この記事のポイント

  1. 2026年、小売業でAIエージェントが「ツール」から「意思決定者」へと進化
  2. Gartner予測:企業アプリの40%がAIエージェントを搭載(2025年の5%未満から急増)
  3. EC事業者は今すぐ「データ整備」と「エージェント対応」の準備を開始すべき

AIエージェントが小売業を変革

How agentic AI will reshape shopping in 2026

How agentic AI will reshape shopping in 2026

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Agentic AI is reshaping commerce by removing friction from the middle of the funnel. As shoppers delegate comparison, evaluation, and planning to AI agents, the journey from intent to action is accelerating.

2026年は、AIエージェントが小売ビジネスのあり方を根本から変える転換点となります。もはやAIは単なる分析ツールではなく、自律的に判断し、行動する「デジタル従業員」として機能し始めています。

EMARKETERによると、すでに38%の消費者が買い物にAIを活用しており、80%が今後さらに利用を増やす意向を示しています。消費者は価格比較、レビュー検証、返品ポリシーの確認といった「面倒な作業」をAIエージェントに委任し始めています。

背景と業界動向

なぜ今「エージェンティックAI」なのか

従来のAIは人間に「何が起きているか」を報告するものでした。しかし2026年、その役割は劇的に変化しています。SiliconANGLEは「AIは小売業のオペレーティングシステムになりつつある」と報じています。

Ogilvy North AmericaのKaare Wesnaes氏(イノベーション責任者)は、「消費者は10個のタブを開いたり、20件のレビューを読んだりしなくなる。AIエージェントに『自分のニーズを理解し、市場を調査し、価格、配送、サステナビリティ、返品ポリシー、過去の購入履歴を考慮して』と依頼するようになる」と予測しています。

3つの並行する宇宙

現在、小売業界では「3つの並行する宇宙」が形成されています。

  1. ディスカバリーコマース: TikTok、Instagram、YouTubeを通じた商品発見
  2. リテールメディア: Amazon、Walmart、Instacart、Targetのプラットフォーム
  3. エージェンティックコマース: AIエージェントによるショッピング

それぞれが独自のKPI、運用ルール、組織内オーナーを持ち、EC事業者はこの3つすべてに対応する必要があります。

AIエージェント市場の現状と予測

Gartnerの衝撃的な予測

Gartnerは、「2026年末までに企業アプリケーションの40%がタスク特化型AIエージェントを搭載する」と予測しています。2025年初頭には5%未満だったことを考えると、この急成長は驚異的です。

Gartnerのアナリスト、Anushree Verma氏は「AIエージェントは、タスク・アプリケーション特化型から、エージェンティックエコシステムへと急速に進化する。企業アプリケーションは、個人の生産性を支援するツールから、シームレスな自律的協業とダイナミックなワークフロー調整を可能にするプラットフォームへと変貌する」と述べています。

主要プレイヤーの動向

Modern Retailによると、AIショッピングエージェント市場では激しい競争が始まっています。

  • Amazon: 外部エージェントをブロックしながら、自社のRufusアシスタントを自動購入機能で拡張中
  • OpenAI/ChatGPT: Target、Instacart、DoorDashと提携し、直接チェックアウト統合を実現
  • Perplexity: 2024年後半にAIショッピングエージェントをローンチ
  • スタートアップ群: Daydream(ファッション特化)、Phia(価格比較)、OneOff(セレブ推薦)など

特筆すべきは、ChatGPTのクエリの約2%(日量約5,000万件)がすでにショッピング関連であることです。

信頼性の課題

ただし、完全な信頼はまだ獲得できていません。EMARKETERの調査では、AIの推薦を「完全に信頼する」消費者は46%にとどまり、89%が購入前に情報を自分で確認しています。消費者の88%は明確なソース情報を、87%は検証済みレビューを求めています。

EC事業者への影響と活用法

今すぐ着手すべき3つの準備

1. データインフラの整備

AIエージェントは、従来のキーワード検索用に構築されたカタログデータでは十分に機能しません。詳細なコンテキスト情報、構造化されたメタデータが必要です。商品情報の粒度を上げ、AIが「理解」できる形式に整備することが急務です。

2. 統一データオーケストレーション

マーケットプレイス、SNS、自社サイトなど、AIエージェントが活動するすべてのチャネルで一貫した情報を提供する必要があります。価格、在庫、商品説明の同期が不可欠です。

3. 人間とAIの役割分担

AtDataのTom Burke CEO は「消費者はブラウジングしなくなる。委任するようになる」と指摘します。一方で、アイデンティティに関わる購買(ファッション、趣味関連など)は自動化に抵抗が残ります。「頭(理性的判断)は速く自動化される。心(感情的判断)には時間がかかる」のです。

注意すべきリスク

  • 二速経済のリスク: AIインフラに投資する企業とそうでない企業の格差が拡大
  • プロジェクト中止リスク: Gartnerは「2027年末までにエージェンティックAIプロジェクトの40%以上が中止される」と警告
  • 信頼構築の重要性: 過度な自動化は顧客との関係を損なう可能性

まとめ

2026年は、AIエージェントが小売業の「ツール」から「インフラ」へと進化する転換点です。Gartnerの予測する「企業アプリの40%がAIエージェント搭載」という数字は、この変革の規模を物語っています。

EC事業者にとって重要なのは、今すぐ準備を始めることです。データ整備、チャネル統合、そして「何をAIに委ね、何を人間が担うか」の判断。これらが2026年以降の競争力を左右します。

VMLのMegan Hoppenjans氏が指摘するように、「従来10年以上かかった消費者行動の変化が、今は12〜24ヶ月で起きている」のです。待っている時間はありません。

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