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REI新CEO、エージェンティックコマース時代に「信頼」で勝負する戦略を発表

鈴木章広

鈴木章広

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2026/01/14

この記事のポイント

  1. REI新CEOのMary Beth Laughton氏がAI時代における「信頼」重視の戦略を発表
  2. AIが普及しても人間の専門知識と感情的つながりが差別化要因になると主張
  3. EC事業者は自動化と人間らしさのバランスを見直す必要がある

REI CEOが語る「AIでは代替できない価値」

REI's CEO Is Betting on Trust in an Age of Agentic Commerce

REI's CEO Is Betting on Trust in an Age of Agentic Commerce

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REI CEO explains how trust, green vest expertise, and mission-led strategy shape the co-op's future in an AI-driven retail world

2026年1月13日、アウトドア用品大手REIのCEO Mary Beth Laughton氏が、エージェンティックコマース時代における小売業の差別化戦略について言及しました。業界がAI自動化に向かって競争を繰り広げる中、REIは「信頼」と「人間の専門知識」を軸とした独自路線を明確に打ち出しています。

Laughton氏はNRF 2026での発言を通じて、AIはリテールのあらゆる側面に影響を与えるものの、技術そのものは差別化要因にならないと主張しました。「AIはハイキングに行ったことがない。キャンプもしたことがない」という言葉は、テクノロジーの限界と人間の「生きた経験」の価値を端的に表現しています。

背景と業界動向

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが消費者に代わって商品を発見し、比較し、購入までを自律的に行う新しい商取引の形態です。McKinseyのレポートによれば、2030年までに米国EC売上の10〜20%(最大3,850億ドル)がエージェンティックコマースによるものになると予測されています。

しかし、この急速な変化の中で課題も浮上しています。現在、AIの推薦を完全に信頼する消費者はわずか46%にとどまり、89%が購入前に情報を確認しています。テクノロジーが進化しても、消費者の「信頼」を獲得することが依然として最大のハードルなのです。

こうした背景の中、REIは2025年1月にMary Beth Laughton氏を新CEOに迎えました。Laughton氏はNikeでグローバルD2C事業を統括し、Athletaでは社長兼CEOを務めた経験を持つ小売業界のベテランです。就任後、REIは3年間の変革計画「Peak 28: Ascending Together」を発表しました。

REIの「信頼」戦略 - Peak 28の4つの柱

REIの戦略の核心は、ポジショニングにあります。「アウトドアを愛する人々にとって最も信頼できる小売業者」という位置づけを明確にし、これを実現するための4つの柱を設定しました。

1. つながりのある文化づくり 高い成果を上げる、目的主導型の組織を構築し、従業員がビジネスミッションに深くつながりを感じられる環境を整備します。

2. 本物志向の品揃え トレンドを押さえつつ、信頼を構築しアウトドアカルチャーを形作る製品を提供します。

3. 卓越したサービス体験 店舗とオンラインの両方で、差別化された体験を通じて顧客との信頼を築きます。

4. 会員制度の刷新 2,500万人の会員に向けて、高度に差別化されたサービスを提供し、エンゲージメントを深めます。

特筆すべきは、「文化」が最初の柱として位置づけられている点です。Laughton氏は約9,000人の店舗スタッフ「Green Vest(グリーンベスト)」を「秘密兵器」と呼び、彼らのアウトドアに関する実体験と専門知識こそがAI時代における最大の競争優位性だと強調しています。

EC事業者への影響と活用法

REIの戦略は、EC事業者に重要な示唆を与えています。

人間の専門知識をデジタルに統合する REIは店舗スタッフの商品レビューやビデオをオンラインに組み込み、コンバージョン向上を実現しています。EC事業者も、専門家の知見をコンテンツとして活用することで、AIだけでは提供できない価値を創出できます。

信頼を中心に据えたブランド構築 VMLの2026年レポートは「Human + Tech Counterpoint」というコンセプトを提唱しています。スピードと信頼、予測的フルフィルメントと驚き、スケールとケアを両立させることが求められています。

AIは代替ではなく強化ツール エージェンティックコマースは人間のつながりを置き換えるものではありません。摩擦を減らし、より良い選択肢を提示し、個人の好みを尊重することで、小売業者はスケールでより「パーソナル」になれるのです。

REIの事例が示すように、2026年以降に勝利する小売業者は、AIエージェントのスピードと精度を、人間だけが提供できる創造性、共感、専門知識と組み合わせられる企業でしょう。

まとめ

REIの戦略は、業界全体に対する問いかけでもあります。「AIが普及した世界で、ブランドは何によって差別化されるのか」という問いに対し、Laughton氏は「信頼」と「人間らしさ」で答えました。

2024年度の売上が前年比6.2%減の35.3億ドルとなり、1.56億ドルの純損失を計上したREIにとって、この戦略転換は生き残りをかけた挑戦でもあります。しかし、Laughton氏は「このプランは過去のco-opに戻ることではない。目の前にある険しい山を登ることだ」と述べ、変革への強い意志を示しています。

EC事業者にとって、この動きは自動化一辺倒の戦略を見直すきっかけとなるでしょう。AIとの共存時代において、「人間だからこそ提供できる価値」を再定義する必要があります。技術が取引を駆動しても、関係性がブランドを駆動する。REIの挑戦は、この原則を証明する試金石となりそうです。

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