EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月13日)
鈴木章広
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Source: news.adobe.com
この記事のポイント
- Adobe調査:2025年ホリデーシーズン、AI経由のEC流入が前年比693%増
- PayPalがMicrosoft Copilot Checkoutを支援、エージェンティック決済基盤を拡大
- SSENSEが創業者バイバックで事業継続、de minimis廃止の影響を示す事例に
2026年1月第2週、NRF(全米小売業協会)カンファレンスを契機に、エージェンティックコマース関連の発表が相次いでいます。本日のダイジェストでは、AIトラフィックの急成長を示すAdobe調査、PayPalの決済基盤拡大、EUのEC規制、Walmartの国際展開など、EC事業者に役立つ6つのニュースをお届けします。
※ Google UCP、Shopify Agentic Storefronts、commercetools/JD Sportsについては前日の記事をご参照ください。
今日の注目ニュース
Adobe調査:2025年ホリデーシーズン、AIからの流入が693%増

Adobe: Holiday Shopping Season Drove a Record $257.8 Billion Online
Adobe released online shopping data for the 2025 holiday season, covering the period from Nov. 1 through Dec. 31, 2025 where consumers spent $257.8 billion online up 6.8% year-over-year.
Adobeが発表した2025年ホリデーシーズン(11月1日〜12月31日)のEC分析レポートによると、生成AIツールからの小売サイトへの流入が前年比693.4%増加した。
オンライン売上高は過去最高の2,578億ドルを記録し、前年の2,414億ドルから6.8%増加。1日の売上が40億ドルを超えた日は25日間に達し、2024年の18日間から大幅に増加している。
特筆すべきはAI経由の購買転換率だ。AIからの流入は他のトラフィックソースと比較して31%高いコンバージョン率を示し、前年から約2倍に向上した。サイバーマンデーではAI経由のトラフィックが670%増加し、AIが商品リサーチや取引発見のツールとして定着しつつあることが示された。
PayPalがMicrosoft Copilot Checkoutを支援、エージェンティック決済を本格展開

PayPal Powers Microsoft's Launch of Copilot Checkout
Copilot Checkout delivers seamless, trusted purchases powered by PayPal
1月8日、PayPalはMicrosoftと提携し、Copilot Checkoutの決済基盤を提供することを発表した。消費者はCopilot内で商品発見から決済完了まで、リダイレクトなしでシームレスに購入できる。
PayPalは「Agent Ready」という決済ソリューションを展開中で、既存の数百万のPayPal加盟店が追加の技術対応なしにAI経由の決済を受け付けられる。不正検知、バイヤー保護、紛争解決も既存の仕組みがそのまま適用される。
さらにPayPalはOpenAI(ChatGPT)、Perplexity、Google(Agent Payments Protocol)とも提携しており、複数のAIプラットフォームで決済を担う横断的なポジションを確立しつつある。
グローバルEC動向
EU EC規制はなぜ複雑に見えるのか:実務者が知るべき規制の全体像

Why E.U. Ecommerce Rules Seem Complex
EU市場参入を検討するEC事業者向けの規制解説
Practical Ecommerceが、EU市場でビジネスを行う上で直面する規制の複雑さを解説している。
EUには単一の規制フレームワークは存在せず、GDPR、デジタルサービス法(DSA)、Omnibus指令、ジオブロッキング規制、一般製品安全規則など、複数の規制が重層的に適用される。一部はEU全体で統一適用されるが、他は各国での実装が必要で「理論上は中央集権、実際は断片的」なコンプライアンス課題を生む。
大企業はコスト吸収できるが、中小事業者にとってはレビュー透明性や価格表示などのリソース負担が重い。一方で、消費者保護を重視するEU市場では、早期のコンプライアンス投資がブランド信頼につながるとも指摘している。
Walmart International、メキシコ主導で売上10.8%増

Walmart Posts 10.8% Jump in International Sales
Walmart Internationalが好調、メキシコ・中国・インドが牽引
Walmartが2026年度第3四半期の国際売上を発表。前年比10.8%増の333億5,000万ドルを記録し、メキシコ、中国、インドの成長が牽引した。
特筆すべきは各地域のデジタル戦略だ。Walmart Mexico(Walmex)は「El Fin Irresistible」などの販促とデジタル強化を推進。Sam's Club中国ではデジタルチャネルが全収益の約50%を占め、売上は21.8%増。インドのFlipkartは「Big Billion Days」セールで1秒間に87件の注文を処理した。
Walmartは「40%以上のソフトウェアアプリケーションにAIを組み込んでいる」と述べ、自動化配送センターの国際展開も進めている。
企業動向・提携
SSENSE創業者がバイバックで事業継続、de minimis廃止の影響を示す事例

SSENSE Founders Win Bid to Maintain Control
SSENSE Founders Win Bid to Maintain Control: Stability restored.
モントリオールの高級ファッションECプラットフォームSSENSE(センス)の創業者3兄弟が、裁判所監督下の再建プロセスを経て経営権を維持することが決定した。2月13日までにクロージング予定。
SSENSEは2021年に50億ドルの評価を受けたが、2023年から2025年にかけて売上が減少。2025年9月に債権者保護申請に至った。同社が挙げた財務悪化の要因の一つが「米国de minimis免除の廃止」だ。従来800ドル以下の商品は関税・税金なしで米国に輸入できたが、この制度変更により米国向け配送コストが大幅に上昇。2025年9月〜12月の米国売上は前年比60%以上減少した。
この事例は、越境ECにおける貿易政策変更の影響を示す警鐘となっている。
市場分析
McKinsey:2030年までにAI小売市場は3〜5兆ドル規模に
Agentic commerce: How agents are ushering in a new era
Discover how agentic commerce uses AI shopping agents to transform retail with hyperpersonalized experiences, autonomous transactions, and innovation.
McKinseyの最新レポートは、エージェンティックコマースが小売業界にもたらす経済的インパクトを試算し、2030年までにグローバルで3兆〜5兆ドル規模に達する可能性を示した。
McKinseyはエージェンティックコマースを「地殻変動的シフト」と表現し、AIエージェントが人間に代わって商品を探し、交渉し、取引を行うモデルだと定義。ショッピングは「検索→閲覧→比較→購入」という離散的なステップから、自律的なAIシステムによる「意図駆動型の連続的フロー」へと変容するとしている。
移行速度について、McKinseyはこれまでのプラットフォームシフトよりも速く進む可能性を示唆。AIシステムは既存のデジタルインフラを活用できるため、新しい基盤を待つ必要がないからだ。
まとめ
本日のダイジェストでは、AIトラフィックの急成長(Adobe調査)と、それを支える決済基盤の整備(PayPal)という、エージェンティックコマース時代の両輪を確認した。
EC事業者にとって実務的に注目すべきは、EU規制への対応とde minimis廃止の影響だ。SSENSEの事例は、越境ECにおける貿易政策リスクを具体的に示している。一方、Walmartの国際展開は、デジタルとAIへの投資が成長を牽引する好例となっている。
明日以降の注目ポイントは、NRF 2026で発表された各社の詳細実装と、UCPの技術仕様公開だ。
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